緩慢
登園時のサクは不機嫌なことが多かった。ハハの手をギュッと握って あまり話もせずに歩く。
その朝は珍しく機嫌がよく、ハハを後ろにおいてパタパタと駆け出し、振り返って「はやく~」と笑顔。
だいぶ暖かくなってきたその日、薄手のパーカーに黄色の幼稚園バッグを斜めにかけて前を行くサク。
3年前の入園、それから 転居、転園。
毎朝毎朝 泣いていたなあ。
後ろ姿を見ていたら ポロポロ泣けてきた。こうして登園するのも、これが最後。
翌日は卒園式。でも日曜日を挟んで2日間は自由登園。
その後は今月いっぱい預かり保育もあり、なんとも気持ちの区切りをつけづらいというか、
まだ 実感がわかないのだけれども、日がたつにつれて
ああそうか まりこ先生はもう担任じゃないんだ、とか ふと気がついて、
ああ。もうあそこに 私達の居場所はないんだなあ ってじわじわと解ってきて
少しずつ少しずつ 気持ちが追い付くのを 日向に座ってぼんやり待っています。